からだのおはなし

みなさんは、1型糖尿病であることを周りの人にどのくらい伝えていますか?

うちの娘は、幼稚園の年少の時に発症しました。
まだ小さかったので、最初は周りに話すことに対しては深く考えていなかったし、それ以上に日々の血糖コントロールに必死だったのですが…

"まわりに話そう"と思い始めたのは、発症から1年くらいたったころ。
幼稚園では、親子共に親しいお友達にはもちろん病気のことを話していましたが、クラスには35人ものお友達がいます。

あるとき、お友達にインスリンポンプについて『それなーに?』と聞かれたそうです。
やっぱり気づきますよね、気になりますよね。
先生がリブレで血糖値を確認しているときも『なになに?』と聞いてくることもあったそう。

毎日給食の時に私が幼稚園に行っていることも、お友達からしてみたら『どうしてだろう?』と思ったでしょうね。子どもの当たり前の心理ですよね。
深い意味はなく気になって聞いてくることが、娘は少しだけストレスになっていたようにも感じます。

とは言え、当時娘は5歳。
毎日血糖測定をしたりインスリンを打つことが必要ということは娘なりに理解して、嫌がることなくやっていましたが、お友達に聞かれてもうまく説明できるわけがないのです。
娘はちょっぴりぼやきました。
なんて言っていいのか、わからない』と。

日頃から、"1型糖尿病であることを隠す必要はない、恥ずかしいことじゃないんだよ"と娘に教えつつも、私たち親や先生が詳しい話をせずにごまかしていることはよくないのでは?と思うようになり、先生に相談させていただいたことがきっかけで、クラスのお友達にお話することにしました。

そこで作ったのが、紙芝居。『●●ちゃんのからだのおはなし』というもの。
参考にした資料はたくさんありますが、娘用にアレンジして(ポンプだったり補食の内容だったり)子どもでもわかりやすい表現になるように、娘本人と相談しながら一緒に考えました。

そして、幼稚園で先生から病気についてお話してもらい、この紙芝居を子どもたちに読んでいただきました。
娘は前に出て、インスリンポンプを見せたりしたそう。
保護者の方にも、幼稚園から説明のお便りを配布していただきました。

後から聞くと『ちょっとドキドキしたよ』と言っていた娘でしたが、先生からみんなにお話してもらえて、すごくすっきりしていました。
それ以来、インスリンポンプを堂々と見せていたようです。保育室でも補食することもあったようです。

クラスのお友達がどこまで理解したかはわかりません、まだ難しかったかもしれません。
でも、まだ完全に理解できなくても、私たち親子にとってはすごく大きな一歩を踏み出した出来事でした。 娘にとっては、すごく勇気のいることだったと思うけど、自分のからだのことを正しく理解して受け入れてもらうために、この経験はすごく大事だったと、今は思います。

これから先、小学校に入って中学校に入って、大人になっても、1型糖尿病はこういうものなのですと、堂々とオープンにしてもらいたいという私たち親の願いでもあります。

あれから2年たちましたが、年長さんでクラスが変わっても同じように説明をしていただき、小学校に入学した今年も、クラスで先生からこの紙芝居を読んでいただき、保護者会では私からも説明させていただきました。

もちろん、来年2年生になってもやりたいと思います。
毎年環境が変わるたびに、みんなに説明するということが、当たり前のことにしたいと思っています。
周りにどこまで話すかは、色々な意見があると思います。
もちろん本人の気持ちが一番ですが。

うちの場合は、発症がまだ小さかったこと、娘本人が教えてしまいたいと希望したことが大きかったです。
この娘の勇気とともにすごいなぁと思ったのは、周りのお友達の柔軟さ。 最初は『なになに?』と興味津々だった子たちも、一度知ってしまえばすんなり受け入れてくれました。

とくに今は1年生。
紙芝居の内容もすごく理解してくれていて、休み時間のたびにリブレをする娘を見守ってくれたり、『●●ちゃん大丈夫?』『ひくいとだめなんでしょ?』と声をかけてくるのだそうです。
補食をするときは、先生が『●●ちゃんラムネ食べてきまーす』と声をかけるほど。

娘が勇気を出して周りに伝えたことで、周りも温かく受け入れてくれて本当にいい環境ができたと思います。そんな環境になるようにサポートしてくれた幼稚園や学校には感謝しかありません。

1型糖尿病って、学校生活においてできない活動や食べられないものはないのです。
ただ、血糖管理が必要で、気をつけなければならないことはたくさんあります。
もちろん本人が一番気をつけて学校生活を送らなければなりませんが、周りの助けが必要になることもあります。

だからこそ、自分のからだについて教えておくこと、時にお友達に助けてもらうことが大事なのかもしれません。
これからも楽しい学校生活になりますようにと願っています。
いま、周りに上手く伝えられなくて悩んでいる方、伝えるか悩んでいる方の希望になれたら嬉しいです。

とても勇気のいること、でもその先には、いい環境が待っているかもしれません!