あなたは1型糖尿病です。人生が変わったあの日

1週間ぐらい不安な日が続いた

そして、またあの嫌な思い出のある個室に呼ばれた

一息吸ってドアを開けると先生が座っていた
とても深刻そうな顔に見えた

「ちょっとずつご飯たべれてるね」
そんな他愛もない話から
検査結果の用紙を机に出され、突然話が始まった

「検査の結果、インスリン分泌がほとんどありませんでした」

『え・・?インスリンがでない?どうゆうこと?』
私が不思議そうな顔をしていると

「劇症1型糖尿病です。これからはインスリン注射がないと生きていけません」

『え・・・?』
全く理解できない私

『最近受けた健康診断では、何も異常もなかったのに?なんで…?
てか、1型糖尿病ってなに…?』

何も話さなくなった私に先生は淡々と話を続ける

その嫌な診断結果が書かれた紙を引っくり返し
そこに、分かりやすいように絵を書きながら説明をしてくれた

そんな話、今の私には全く聞こえない

頭に残っている言葉は

“これからはインスリン注射がないと生きていけません”

ただこれだけだった

話は知らないうちに終わっていて
私は携帯と診断結果の紙を握りしめたまま、病室を出てロビーに向かった

携帯で母親の電話番号を表示させ、その番号を見ながら

『どんなテンションで伝えようか…どうやって話そうか…』
と考えてたら1時間が過ぎていた

ただ検査結果を話すだけなのに
通話ボタンを押すことがとても勇気がいった

『なんか1型糖尿病っていう病気やったわ…!!』
なんて
少しテンション上げて話すつもりで携帯を耳に傾けた

「どうした?何かあった?」
一番に頼りたかった母の声を聞き

『1型糖尿病やったわ…』と
自分が出すはずだったトーンの何倍も低い声で話し
気がつけば、ロビーで泣き崩れていた